2024-11-10

中国における電話インタビュー実務について

中国における電話インタビュー実務について

1.電話インタビューの時期

数年前まで、電話インタビューは、出願人がオフィスアクションに応答した後に、該当応答案に対して形式的な不備があった場合にのみに行われている。

しかしながら、2018年頃から、CNIPAから審査周期の短縮及び品質向上の政策の影響により、電話インタビューの発生時期が前向きになっている傾向がある。

具体的には、実体審査に入ってから第一回のオフィスアクションが発行する前の時期にも、電話インタビューがよく行われている。すなわち、CNIPAが授権される気配のある案件に対しても、技術的に分からないところがある案件に対しても、オフィスアクションの発行前に案件相談が先に行われている。

2.電話インタビューの原因

上述のように、今まで、電話インタビューが行われる一番の原因は、出願人が提出した応答案に対して何らかの不備が残っていることにある。

また、審査官の検索結果、適切な引用文献が検索できず、新規性及び進歩性には特に問題ない前提において、出願書類に形式的な不備が存在する際に、電話インタビューが行われることがある。

また、審査官の判断により、新規性及び進歩性の不備は存在するが、審査期限が迫ってきた際にも電話インタビューが行われることがある。

さらに、例えば、既に第三回のオフィスアクションまで発行したのに、登録査定や拒絶査定が発行できず、審査を続けなければならないが、第四回のオフィスアクションまでは発行するのに審査周期などのプレッシャーがかかることもあるので、その場合にも電話インタビューが行われることがある。

最後に、担当審査官からは登録させる方向だったが、CNIPA内部の品質検査に何らかの不備が見つけられた場合にも電話インタビューが行われることがある。

3.電話インタビューの内容

オフィスアクション発行前の段階又はオフィスアクション応答後の段階のいずれにおいても、電話インタビューの最も多い内容は、出願書類又はオフィスアクションの応答書類に何らかの形式的な不備に対するものとなる。

なお、中国特許審査において、他国、特に日本や欧州、アメリカなどの審査結果を参考する傾向がある。これを前提として、オフィスアクション発行前の段階又は補正せずにオフィスアクションに応答した場合には、電話インタビュー時に、他国の審査結果に基づいて、補正することが求められる。

別のパータンとしては、出願人が補正せずにオフィスアクションに応答した場合、特にオフィスアクションに新規性及び進歩性を指摘してない従属クレームがあった場合、電話インタビュー時に、該当従属クレームをメインクレームにアップすることが求められる。

また、応答を求めず、審査官が技術内容が把握できないという原因で、電話インタビューが行われることもある。このパータンは、特にオフィスアクションの発行前によく行われているが、オフィスアクション応答後にも珍しくない。

最後に、珍しいパターンにはなるが、担当審査官から一気に同じ出願人の同類の複数件に対して、それぞれに他国の審査結果に基づいて補正することが求められる。特に、複数分割してそれぞれ登録された案件によくあるパターンである。

4.電話インタビューの対応

極一部は応答無し且つ口頭的な技術解釈で済むが、大半の電話インタビューは、審査官の意見を受け取り、それに従って応答することになる。

一方、審査官の意見を受け取らず、そのまま応答せず、審査官に意見通知書を発行させることを要求することもある。この際には、審査官からの提案が実際の製品をカバーできないことが原因となり、或いは、審査官の提案がライバル会社の製品をカバーできないことが原因となる。ここでご注意して頂きたいのは、審査官の意見を受け取らない場合、保護したい範囲に対して審査官と相談することができる。

また、電話インタビューは包袋請求などにも一切記載されてないので、今後の権利行使などを考慮して、正式な拒絶理由を求める出願人は、応答せずに拒絶理由を待つことにする。

5.電話インタビューの結果

審査官の意見を受け取り、それに従って応答した場合、ほぼ全件がそのまま登録できますが、近年はCNIPA内の品質検査が厳しくなった原因か、電話インタビュー後に再び進歩性の拒絶理由が発行されるケースが現れている。

極少ないケースにおいては、出願人の応答と審査官の期限に時差が生じ、出願人が電話インタビューに応答したのにも関わらず、同じ内容の拒絶理由がほぼ同時に発行される。この場合には、拒絶理由には応答しないわけでもないので、再び電話インタビューと同じ内容で正式に応答するしかない。

6.電話インタビューの留意点

「最高人民法院による専利権侵害をめぐる紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(二)」の第13条には、以下の記載がある。

「専利権付与・権利確認プロセスにおいて専利出願人、専利権者による特許請求の範囲、明細書及び添付図面に対する限縮の補正又は陳述が明確に拒絶されたことを権利者が証明する場合、人民法院は、当該補正又は陳述が技術法案の放棄をもたらさないことを認定しなければならない。」

つまり、審査官に明確に拒絶された補正や意見陳述には、「禁反言の原則」が適用されない。

そのため、もし審査官の電話インタビューでの提案が権利行使時に「禁反言の原則」に適用される可能性がある場合には、電話インタビューに応答せずに審査官に正式な拒絶理由の発行を要求したほうが好ましい。

一方、製品観点から、例えば、欧州ではライバル会社の製品などを考えて、より狭い範囲に限定しても特に問題ないと判断して登録させたが、中国審査官にその欧州登録クレームに基づいて補正することを要求された場合、中国の製品とは合致しないケースがあるので、要注意である。

このような状況を鑑み、中国で電話インタビューを対応する際に、中国ライバル会社の製品のみを考慮して権利範囲を狭く限定した場合、その後の他国の登録にも影響を与える可能性がある。

そのため、中国で電話インタビューを対応する際にも各国の事情を総合的に考慮して対応したほうが好ましい。

 

筆者

機械意匠部長 兼日本部長 金成哲