1.中国はすでに世界知的財産権大国になっており、比較的に整った知的財産権の法律と制度が確立されている。専利出願の受理数及び登録数は、1995年以来の20年間で27倍以上増加し、2005年以来の10年間でそれぞれ4倍以上と5倍以上増加した。発明の出願の受理数は、長年にわたり世界1位に輝いている。
2.しかし、中国はまだ知的財産権強国ではない。知的財産権は、創造規模が大きいが収益が小さく、件数が多いが品質が低い、という現状にある。特には、知識財産権の海外進出、知的財産権の強度指数及び知的財産権に係る貿易などの面においてこれらの問題は顕著である。2014年、中国住民の海外発明出願の件数は3万6682件のみにとどまり、世界第6位であり、登録になった件数は1万3702件のみであり、世界第8位であった。
3.将来、中国の知的財産権の創出は、引き続き中高速の勢いで発展し、発展の方向は、数量の増加から品質の向上に転換すると見込まれている。
4.中国における知的財産権は、マクロ経済と密接に関係している。マクロの角度からみると、2008年から2013年までの6年間において、知的財産権の経済成長への貢献度は平均23.29%であった。
5.知的財産の国際化は、将来、中国の知的財産権の発展の重点分野になると展望されており、ハイテク企業とインターネット企業は、知的財産の国際化のパイオニアとなる見通しである。ここ数年の発展のスピードから見ると、中国の知的財産の国際化は明らかに国内での発展スピードを超えており、華為(ファーウェイ)、中興(ZTE)、騰訊(テンセント)などのインターネット企業は、国際舞台でも注目を浴びるパフォーマンスを見せている。
6.中国の知的財産権制度は、引き続き完全なものに、知的財産権による保護は一層強化されていこうとしている。「国家知的財産権戦略綱要」が発表以来の中国の知的財産権の巨大な発展と変化は、国家レベルの戦略や制度の構築の重要性を表明した。「国家知的財産権戦略行動計画(2014年~2020年)」などの実施により、中国知的財産権制度の発展と知的財産権による保護の強化は確保・向上されていくに違いない。
7.中国知的財産権サービス機構は発展の黄金時代を迎えようとしている。中国の経済と社会の発展・進歩・モデルチェンジからの需要と、国家政策による力強い支援は、中国の知的財産権サービス機構と全産業発展に貴重な好機を提供している。「互聯網+」(「インターネットプラス」)という大きな時代背景の下、新モデルや新思考の続出はその発展に拍車をかけることになると予測する。
8.知的財産権は中国が「大衆創業、万衆創新(大衆の創業とイノベーション)」の実行を推進するエンジンであるとともに保障手段でもある。中国現在の創業ブームは、経済の発展に対する牽引効果が狙われたものであり、技術、設計、ビジネスモデルなどの面での革新の促進効果があることを主な特徴としている。一方で革新と言えば、知的財産権は必要不可欠である。
9.中国の知的財産権は地域間発展のアンバランス性が存在し続けると予想される。中国は広い領土資源に恵まれているが、各地域は資源、環境、人材などの面での基礎がまちまちであるため、経済の発展状況そして社会の発展状況は大きく差がついており、アンバランス性が存在している。知的財産権事業の発展は経済の発展と高度に繋がっている一方、経済発展のアンバランス状況は短期内には根本的な変化が現れにくいため、中国の知的財産権は今後も地域間発展のアンバランス性が存在し続けると予想される。いかにして地域間知的財産権事業の展開を調和させていくかについて、これで新しい課題と挑戦が課されている。
(情報発信源:中国知識産権報)
2016-12-01